コロナ後遺症への漢方治療の勧め

 コロナ感染後遺症(Long COVID)は、COVID-19感染が軽症でも、後遺症の症状は多彩で長引き、繰り返すことがよくあります。コロナワクチン後遺症も、コロナ感染後遺症と酷似していますから、特に副作用が強くて高頻度に出るmRNAワクチン接種を、全世界的に中止すべきです。
 新型コロナウイルスは、肺、心臓、腎臓、脳、腸管上皮、全身の血管内皮に侵入して、直接的に多臓器障害を残し、さらにコロナ感染後に残った炎症性サイトカインまでが、免疫過剰反応をきたして感染後臓器障害を助長し、慢性炎症化する機序が考えられています。
 代表的な症状には14種類あり、倦怠感、思考力の低下、不眠、体の痛み、食欲不振、発熱、嗅覚障害などで、特に倦怠感は、身体を動かせないほどの重度の疲労倦怠感だったり、人との会話ができないほどの脳疲労(ブレインフォッグ)で就労困難になる人もいます。
 その頻度は、厚労省の2023年調査で成人11.7%~23.4%、小児6.3%に後遺症を認めていますが、通勤通学可能な軽微な後遺症は含まれていないので、様々な論文から、約1~3割が後遺症になるとされます。

1.遷延性感冒、サイトカインの治療
 COVID-19感染初期から漢方薬を使用すると、サイトカインの嵐(ストーム)を速やかに鎮静できます。詳しくは、『サイトカインストーム漢方治療:新型コロナ重症化予防』を読んでください。
 後遺症の初期治療で、サイトカインの影響が残っていると思われることがあります。その症状は漢方の太陽病表証そのものなので、漢方薬で後遺症の悪化をきたすサイトカインを鎮静化できると思われます。

2.遷延性咳嗽、遷延性筋関節痛の治療
 COVID-19感染直後には咳が長引くことが多いですが、喉がタダレているためと思われます。タダレが強く喉が赤いときには消炎効果の強い漢方薬、喉が赤くないけど痰が絡みやすいという時は桔梗や石膏を含む漢方薬、痰があまり絡まない咳には気逆を治し喉に潤いを与える漢方薬など、当院では10種類以上の漢方薬を使い分けています。

3.病的な疲労感、倦怠感の治療
 COVID-19感染中や感染直後は軽症だったのに、1~2週間後から疲れが酷くなり、「半日動くと3日寝込む」ような強い反動を伴う労作性疲労倦怠感がLong COVIDの特徴と言われています。
 これはサイトカインによるだけでなく、高病原性コロナウイルスであるCOVID-19が、ACE2受容体をターゲットにして細胞内に侵入するため、ACE2受容体の多い肺、心臓、脳、腎臓、全身の血管内皮に多臓器不全を起こして、 全身の 微小血栓や機能不全を起こしていると考えられるからです。
 漢方医学的に微小血栓は『瘀血(オケツ)』といって血液の滞り病態であり、多臓器不全は気血水が全て滞る『痰飲(タンイン)』の病態と考えられるため、瘀血と痰飲に効く漢方薬を根気よく続けると、数か月で回復して、再燃を繰り返しにくくなるようです。

4.記憶力・集中力の低下、抑うつ、味覚・嗅覚障害、脳の疲労感などのブレインフォッグ治療
 COVID-19感染で脳神経障害を残すと、意識に霧がかかったようなブレインフォッグ状態になることがあります。酷くなると抑うつ状態になります。
 多くの神経発達症と成人のうつ状態は、セロトニン神経系の不調という点で似ていて、強いストレスが長引くことで脳萎縮を来たす点も似ています。そして、うつ病はお薬で脳萎縮が改善することも知られています。
   当院では、小児の神経発達症の漢方治療を研究してきましたが、 そのお蔭で、脳神経の再生・成長を促せる漢方薬があることが分かってきました。
 漢方医学的に見ると、脳髄は骨の中に在るため、脳は骨髄と同じ『腎』に属し、脳萎縮は腎虚の範疇になります。また、記憶力や集中力は意欲と関係の深い『脾胃』の脾気虚であり、参耆剤とよばれる補剤で脳神経細胞の再生や活動を促せるという薬理実験の結果も出ています。
 今のところ、ブレインフォッグの漢方治療をした場合、6割から7割くらいの人に、3か月くらい治療を継続すると、回復徴候がみられてきます。

5.重症化や後遺症を防ぐ体質改善
 もともとコロナ感染で重症化しやすいとされている疾患や体質は、漢方医学的に見れば瘀血体質、痰飲(水毒)体質です。漢方薬で、体質改善を続けていけば、コロナに罹患してもしなくても、健康長寿を高めることができます。
 なぜなら、漢方医学は中国神仙道や道教で開発されたものであり、健康で長生きしなければ道が極められないという意図で開発されてきた経緯があるからです。
 どうぞ、お気軽にご相談くださいね。

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