ポストコロナ症候群(コロナ感染後遺症)の漢方治療

 新型コロナウイルス感染COVID-19から回復後も続く様々な症状が、JAMA誌オンライン版(2020年7月9日)にまとめられていました。
 中国、武漢の中医師らの報告によれば、重症者の多くが、著しい『瘀血(オケツ)』状態*注1)と、強い『痰飲(タンイン)』状態*注2)になっていて、この2つの漢方的徴候に対して徹底的に対処することで、重症者を減らすことができたと述べています。

 中医師によれば、感染初期からすでに痰飲の状態(舌に白苔、膩苔が厚く付いている状態)の人は重症化しやすかったそうです。また、COVID-19重症化は全身のサイトカインストームや血管内皮障害による血管炎(瘀血)であることが西洋医学的にも判明しているので、後遺症が残ってしまったポストコロナ症候群に対しても、感染後まもない時期には、残っている痰飲と瘀血を治療して、気血水の循環を改善する必要があると思われます。

★微少血管障害治療★ 欧米では、若い人でもコロナ感染後に、脳梗塞や心筋梗塞の発症率が5~6倍になるとの報告があるので、瘀血を除く作用の強い漢方薬と魚中心の食事で、血液をサラサラにして、血管が詰まるのを防ぐ必要があります。

★神経障害治療★ さらに、コロナの臭覚障害や味覚障害は、若い人の7割に生じるとの報告も出ていますが、脳の高次神経障害が認められたとの海外の報告があります。
 神経障害は、漢方的には、寒冷や湿気による気血水の欝滞によって悪化するので、温めて水分代謝を良くする附子を含む漢方薬や、神経栄養因子や神経の可塑性・再生能力を高める補気血薬にも、効果が期待できます。脳内のオキシトシンやセロトニン神経を元気にする可能性の高い漢方薬も良いかもしれません。神経障害は、受傷後半年間ぐらいが再生可能性の高い時期ですから、後遺症かなと思ったら、なるべく早く、適切な漢方薬を選んで用いると良いと思います。

★疲労倦怠感治療★ また、感染回復直後に最も高頻度に認められる疲労感は、六病位弁証では少陽病位が多いので、柴胡剤が良いと思います。感染回復後に続いていた微熱が柴胡剤で良くなった症例を経験しました。疲労倦怠がさらに進むと、気血水弁証では『気虚』+『血虚』の病態になります。 西洋医学に気虚を改善する薬はありませんから、漢方薬が適応になります。

 コロナウイルスは、インフルエンザと同様で、感染力のあるウイルス排出期間は10日以内で、多くは5-6日です。PCRなどで診断がついて、発熱などの症状が消えて落ち着いて、10日を経過していれば、その後に他人に感染させる可能性はありません。
 茨城県内でも、以前にコロナウイルスに罹りましたという方が、相談にいらっしゃるようになりました。どうぞ、コロナにかかった方も、まだかかっていないけど痰飲や瘀血の体質があって心配だという方も、ご遠慮なく、当院にご相談ください。

*注1) 瘀血とは、血流が滞って局所に血分が溜まり、血熱という炎症状態をきたすことです。西洋医学的には、サイトカインストームや微小血管炎、微小血栓症をきたしやすい状態、血液ドロドロ状態と考えられているものです。食事や生活習慣で瘀血体質(慢性炎症体質)を予防できます。
*注2) 痰飲とは、漢方カテゴリー座標である気血水の3つ全てが滞って、痰のような粘性の高い水分が全身のどこでも詰まらせる病態で、舌に舌苔が厚く付いていることが多く、呼吸器疾患の痰だけでなく、認知症も五臓の『心』の慢性的な痰飲と考えられています。

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