お天気が影響する頭痛・体調不良

気温と気湿と気圧のいずれかの微少な変動が内耳神経を刺激して自律神経の不調をきたして、激しい頭痛やめまいを起こすことがあります。特に春の三寒四温、季節の変わり目(土用)、秋の長雨シーズンなどに起きやすいと言われます。

2022年4月5日のNHKクローズアップ現代より

2022年4月5日のNHKクローズアップ現代でも取り上げられていましたが、番組では 西洋医学的治療として、天気予報を見て早めに頭痛薬や抗めまい薬を飲むと良いことや、耳たぶを引っ張る体操が紹介されていました。

2022年4月5日のNHKクローズアップ現代より

お天気の影響を受けやすい人の特徴がリストアップされ、6項目以上あてはまると、影響を受けやすい可能性があるとのことでした。

気象医学を得意とする漢方医学には特効薬があり、頭痛の時に飲むものだけでなく、予防や体質改善が可能な漢方薬があります。

 内耳神経系の聴覚や平衡感覚などが不調になる代表的な病気としてメニエール病がありますが、これに近い『内リンパ水腫』という、内耳がむくみやすい病態があると、天気による頭痛や体調不良を高率に起こすのですが、漢方では『水毒』といいます。

 水毒は、もともと水分量の多い小児や女性に多く、目に見えるむくみ(浮腫)がなくても、頭痛やめまい、嘔吐、倦怠感などが起きやすくなります。
 水毒を治すには、沢瀉、茯苓、白朮(蒼朮)、猪苓などの利水生薬に、頭痛や動悸に多用される桂枝や、痛みを緩和する甘草などを組み合わせた漢方薬群が、頭痛や車酔いの特効薬として多用されています。
 また、急激な寒冷刺激によって悪化する頭痛に著効する、ミカン科の呉茱萸が主薬になっている漢方薬群にも速効性があります。

 西洋の頭痛薬も速効性がありますが、胃が荒れて体温が低下し、薬が切れると、さらに痛みがひどくなることもあります。
 しかし、漢方薬は、身体を冷やしすぎることがなく、胃も荒らさないので、まずは漢方薬を試して見て、不充分なときに西洋の頭痛薬を使う方が良いと思います。

 水毒の代謝には、胃腸系(脾胃)と腎・膀胱系が重要な役割をになっているので、胃腸を元気にする薬用人参や、腎・膀胱系を元気にする地黄や山薬などが含まれている漢方薬をさらに併用する『標本同治(表に出ている症状と漢方的原因の本質に迫る病態を同時に治すこと)』で、根本的な体質改善が可能です。