根治をめざした生活習慣病の治療

生活習慣病、つまり高血圧、糖尿病、肥満、高脂血症、骨粗鬆症、認知症などのお話です。

  1. 腸が健康でなければ生活習慣病は完治しない
  2. 『最新の高血圧治療』高血圧薬の常識が変わり、早期治療で治る時代になりました。
  3. 『血圧が高めな人へ』
  4. 牛乳、ヨーグルト、チーズは糖尿病、動脈硬化を悪化
  5. 乳製品は骨粗鬆症や認知症を悪化させる!

腸が健康でなければ生活習慣病は完治しない

 腸は、人体最大の免疫器官で、体中のあらゆる免疫・防衛機能と連動しています。
したがって、免疫アレルギー関連疾患の全てが胃腸の不調と連動します。そればかりでなく、胃腸が不調になって免疫が暴走すると、体中が慢性炎症状態になり、高血圧、糖尿病、動脈硬化など、あらゆる生活習慣病、認知症、老化を促進し、自然治癒力を低下させて、癌の発症リスクも高めてしまいます。

 腸の中には大量の腸内細菌が生きているために、腸は物理的・科学的バリアを作って、直接には細菌と触れないように距離を保ちながら、細菌が食物残渣を食べて代謝して作り出す酪酸や乳酸といった、人の体に有益な有機酸などだけを取り込んで、免疫調整をしています。この酪酸などの有機酸の取り込みが不足しても、免疫暴走状態になり、アレルギーなどの慢性炎症性疾患が増加し悪化します。

 ですから、腸内細菌が元気に生きていくためには、そのご飯である食物残渣、つまり難消化性食物線維の多い食品が欠かせないのです。簡単に言えば、穀類、豆類、野菜、海藻などが毎日必要なのです。
 その必要量は、厚労省が推奨している量の更に1.5倍くらい食べていれば、大丈夫だと思います。京都市内の人々と、京都府丹後地方の百寿者のとても多い地方の人々を比較した研究によれば、雑穀など食物線維の摂取量で、丹後地方の人々の方が圧倒的に多かったそうです。

 腸のバリア機能は脂肪分の摂り過ぎで低下します。野菜を食べるときに、ドレッシングやマヨネーズ、野菜炒めなど油と一緒にとると、腸のバリア機能が低下します。また、霜降り肉など、脂身の乗ったお肉ほど、腸に大きな負担がかかり、腸のバリア機能が低下して、腸がタダレてしまいます。お肉を食べるときは、温野菜を肉の3倍以上?とにかく多めに一緒に食べたほうがよいです。

 高脂肪食の問題点は、動物性脂肪が植物性脂肪かを問わず、脂肪は、牛乳のように細かく乳化してから腸に吸収されるので、胆汁酸という脂肪の乳化剤(石鹸のようなもの)が大量に長時間、出続けてしまうことにあります。腸の粘液バリアの粘液層が乳化されて溶けて薄くなって壊れてしまうと、腸粘膜が、腸内細菌との適切な距離が保てなくなり、細菌と直接触れてしまい、強い免疫炎症を起こしてしまうので、体中に炎症性サイトカインが増えて、慢性炎症状態になるのです。

 腸内細菌の善玉菌は、主に炭水化物の中の難消化性食物線維を分解して、酪酸、乳酸、酢酸、プロピオン酸などの体に有用な短鎖有機酸を作り、腸内を弱酸性に保って、悪玉菌が増えないように、病原菌が育たないように腸と体を守ってくれます。野菜や雑穀は人が健康で生きていくための必需品なのです。

 腸内細菌の悪玉菌は、蛋白質やアミノ酸を分解して、硫黄化合物やインドール、スカトール、アミン、アンモニアなど有害な物質を産生します。蛋白質やアミノ酸は体を造る元となる必要栄養源ですが、過剰に摂取すると、腸内がアルカリ性になり、脂肪がカルシウム石鹸化して便がカチコチに硬くなり、悪玉菌が増えて腸内フローラのバランスが崩れて、益々、腸に炎症を起こしやすくなってしまいます。

『最新の高血圧治療』
高血圧薬の常識が変わり、早期治療で治る時代になりました。

Q.健康診断で高血圧を指摘されました。薬を生涯飲まなければいけないかと思うと、なかなか病院へ行けません。

A. 日本人全員の高血圧が治れば平均寿命は更に10年伸びるそうです。
 1950年代まで高血圧の治療薬はありませんでした。
 1960年代に利尿薬が使われ、
 1970年代に交感神経の緊張を緩める薬が出て、
 1980年代に血管壁の筋肉を緩めるカルシウム拮抗薬CCBが出てから、血圧をかなり下げることができるようになりましたが、これらの薬だけでは血圧が下がっても動脈硬化が改善できないので、生涯飲み続けなければいけないと言われました。
 同じ80年代半ばにアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬が開発されて動脈硬化が改善できる可能性が出てきましたが、空咳が出やすいという副作用のために必要量を充分に使えず、CCBとの併用が推奨されました。

 1990年代にアンギオテンシン受容体遮断薬ARBが出ました。
血管の老化を食い止め、細胞の壊死を抑制して、臓器保護作用もある画期的な薬で、早期にしっかり治療すれば、薬を止めても血圧が上がらなくなる可能性があり、つまり生涯飲み続けなくても良い可能性のある薬であることが証明されました。

 さらに今では、ARBの働きを補うアルドステロン受容体遮断薬MRBと、直接レニン活性抑制薬DRIが出て、動脈硬化がしっかり治せる時代になったのですが、DRIは後から副作用が判明して、今では使われなくなりました。
この新しい薬ARB、MRB、CCBを組み合わせることで、血圧を下げないくらいの少量を服用しても、血管の老化を防ぐことができるので、健診で血圧が心配だと言われた人は早めに治療を始められた方が良い時代になったのです。

『血圧が高めな人へ』

2013年5月の記事を修正

Q.健診で血圧が高めと言われました。どのように対処したら良いですか。何に注意すればよいですか。

A. 高血圧は生活習慣病なので、減塩、低獣脂肪食、魚や野菜や果物の多食、睡眠不足の解消、適度な運動などで、生活パターンを変えることが高血圧の解消に最も良いと科学的に証明されています。

 治療薬ではアンギオテンシン受容体遮断薬ARBが1990年代に発売され、2012年に出たスーパーARB薬が2013年5月から長期処方が可能となって、早期に対応すれば動脈硬化を治せるようになり、薬を飲み続ける必要がなくなりました。
 ARB薬には、血管の老化や細胞のアポトーシス(脱落死)を防ぎ、脳や心臓、腎臓などの臓器保護作用があり、早期に用いれば遺伝的な高血圧体質ネズミもその体質を治せること、血管障害や動脈硬化の予防・改善、認知症モデル動物の改善効果が示され、人でも糖尿病発症予防の効果が証明されました。

 したがって、早期発見、早期対処が良いので、世界的に高血圧の基準が引き下げられました。家庭血圧で135/85以上(2019年高血圧ガイドラインでは125/75以上)、病院で140/90以上(2019年同基準で130/80以上)が高血圧で、家庭血圧の降圧目標は中年で125/80未満(125/75未満)、高齢で135/85未満となりました。

健診で高めと言われたら、自宅血圧を測って基準を超える日が週に4日以上ないか、朝晩2回測って朝が高めでないかを確認してください。高いなら、最初に述べた生活パターンを変える努力を3ヵ月続けて、改善しなければ、医療機関に相談してください。軽ければ血液をサラサラにする漢方薬だけで対応可能な場合もありますが、動脈硬化の諸検査に異常があればARB薬を出してもらうと良いですね。

牛乳、ヨーグルト、チーズは糖尿病、動脈硬化を悪化

牛乳、ヨーグルト、チーズは3つの理由で、糖尿病の人や高齢者にお勧めできません。
  1. 乳製品は高コレステロール血症の原因となること
    牛乳1本200mlにバター7g、ヨーグルト100gにバター3g、蛋白3.6g、チーズ100gに脂肪30g、蛋白25gと全て高脂肪で、コレステロールの塊のような食品群です。
    乳製品を控えただけで、血中コレステロール値は下がります。お薬が不要になります。
  2. 乳糖やガラクトースがAGEsを増やすこと
    図のように、蛋白質が乳糖や乳糖の分解産物ガラクトースと反応して、糖化蛋白質を作り、みりん干しのように、糖化した蛋白はすぐに赤茶けて劣化して弾力性を失い、老化してしまいます。
    乳製品がどんなにカルシウムが多くても、乳糖で骨の蛋白質、コラーゲンが劣化するので、錆びたボロボロ鉄筋にカルシウムというコンクリートを流し込んでも、丈夫な骨にならないのです。
    乳糖があると、糖尿病の合併症も悪化します。脂肪分が多いと、肝臓での糖代謝にも悪影響があるので、乳製品を控えるだけで、糖尿病の薬の効果が良くなることが多いのです。
  3. 哺乳類の蛋白質は、Nグリコリルノイラミン酸が付いていて
    人が持っていない成分なので、血管に沈着して、血管壁に慢性炎症を起こし動脈硬化を悪化させます。
健康に良い蛋白源は、豆、魚、鶏です。

乳製品は骨粗鬆症や認知症を悪化させる!

人の乳製品に対する反応は成長と共に変化します。乳幼児では、腸の乳糖分解酵素が多く、乳成分が成長に欠かせませんが、大人になると、酪農国でない日本人は、乳糖分解酵素が減少して、牛乳など乳糖を多く含む乳製品を受け付けにくい体になっていきます。

欧米人(白人)は、高緯度地方に適応したため、野菜や穀類が乏しく,厳冬でも栄養源にできる乳製品が消化できるように進化したのです。ですから大人になっても乳糖分解酵素が減少せず,乳製品が平気で食べられるような体になっているのです。

哺乳類の中で、大人になってもお乳や乳製品を栄養源にしているのは,高緯度地方の白人か,砂漠地帯の遊牧民か,アフリカのサバンナなど、穀類の収穫が困難な地域に住む人間だけです。

乳製品を多く食べていると,赤ちゃんのように腸の乳酸菌は増えますが,2つの大きな問題点が出てきます.
一つ目は乳糖の問題です.乳糖はガラクトースとブドウ糖が結合した二糖類で、ガラクトースは、人が全く利用できない糖で、体に蓄積すると、蛋白質に糖をまぶした状態になり,みりん干しや照り焼き料理のように,加熱して時間が経つと,赤茶色に劣化した糖化蛋白質(AGEs)となって、蛋白質を変性させるので、蛋白質が赤茶けて弾力性を失ったり、白濁したりして、皮膚のシワや水晶体が白濁する白内障が進行し、骨質のコラーゲン蛋白も早く劣化するのです。

事実,乳製品を多く摂取している北欧や酪農国に骨粗鬆症が多く発生し、ハーバード大学の看護師の追跡研究でも、乳製品を多く摂取していた人達ほど骨粗鬆症発生率が高かったと報告されています。 また,イギリスやスエーデン、アメリカから、牛乳や乳製品を多く摂ると、ガラクトースにより、白内障が増加し、老化が促進され、骨粗鬆症が悪化するとの報告が出ています。 http://matome.naver.jp/odai/2141477076332602101

二つ目の問題は,バター成分であり,動物性脂肪で,とてもコレステロールが多いのです.日本の九州の久山町研究という世界的に有名な全町民を50年以上フォローした疫学研究でも,バターや獣肉などの動物性脂肪の増加と,糖尿病や認知症の増加がきれいに一致しているという研究報告があります.NHKの「ゴースト血管~美と長寿のカギ 毛細血管~」という番組で,認知症や骨粗鬆症は,脳や骨の毛細血管が消えて代謝が悪化して起きるとあり,漢方生薬の桂皮(シナモン)などで予防できると述べていました。

つまり,バター成分の多いナチュラルタイプのヨーグルトやチーズは,どんなにカルシウムが豊富でも,動物性脂肪とコレステロールが多いので,毛細血管が詰まり,ゴースト化してしまい,認知症や骨粗鬆症を悪化させるのです.
乳酸菌には、プロバイオティックスと言って、体に良い色々な働きがありますから多少は食べた方が良いと思いますが、欧米の人々のような乳製品の取り方は、日本人にとっては明らかに多すぎます。

いまは世界中に、穀類や野菜が流通できる高度文明社会ですから、人類にとってベストな食事は、マクガバンレポートやデザイナーズフードなどで述べられているように、野菜の多い和食が一番です。

カルシウムは、小魚や海藻類からとれば,毛細血管が詰まることがないので,お勧めです。

乳脂肪ゼロの無脂肪乳製品でも、乳糖やガラクトースは含まれているので、嗜好品として楽しむだけにして、日課として常食するのはお勧めできません。