肥満の治療、ダイエット

人の体の栄養代謝システムの基本を知る

 人の体内の栄養代謝システムは、数万年間、全く変わらず、飢餓の時代に適応してきました。
いつ飢えてもいいようにしっかりとした栄養代謝システムができていますが、食べ過ぎに対しては、たった一つの対処法しか持っていないのです。

 飢えたときには、危険な低血糖を防ぐために、タンパク質や脂肪などあらゆる栄養からブドウ糖を新生して、血糖を上昇させる複数の代謝システムがあります。 交感神経系、膵臓のグルカゴン、副腎の抗ストレスホルモンなどが、肝臓などにおける糖新生を促して、血糖を一定に保つので、多少飢えて、食べなくても心配いらないように出来ています。

 また、飢えたときには、脂肪を燃やしてエネルギー源にしますが、非常食である脂肪が燃えていることを脳に知らせるために、脂肪組織は遊離脂肪酸や様々なメッセージ物質を血中に放出します。これらの物質によって、脳が強い空腹を感じると、覚醒レベルを上げて、食欲中枢を刺激して、早くいっぱい食べないと大変だと思わせているのです。脂肪が燃えるときには強い空腹感が出ることを忘れないで下さいね。

 また、いつ飢えても良いように、少しでも余分に食べた栄養は、全て蓄えに回すというシステムになっています。膵臓のインスリンを中心とする栄養代謝システムであり、他には控えの予備システムが全く無いので、飽食の時代と言われる現代人のように、いつもお腹いっぱいになるように食べていると、毎回、インスリンシステムが働いて、蓄えが増えすぎて、肥満や脂肪肝、メタボ症候群になってしまいます。このシステムを使いすぎて膵臓や肝臓がくたびれて機能しにくくなった状態が、糖尿病予備軍、耐糖能低下の状態です。

  ここで気が付いて、ダイエットして体重を落とせば良いのですが、そのままいくとI2型糖尿病になり、治療しないと治らない状態になります。
10年ほど前までは、糖尿病になったら治らないと言われていましたが、今は良い薬ができて治るようになりました。
 しかし、数万年前から続いている人体の栄養代謝システムを理解しないで、お腹いっぱい食べ続ければ、どんなに良いお薬でも治せるはずがないのです。

 ですから、肥満や2型糖尿病は、お腹いっぱい食べるという食習慣が引き起こした結果なのです。

 お腹いっぱい食べるのはお誕生日や結婚記念日くらいにして、空腹を感じても、今は脂肪が燃えているのだと理解して、普段は、お腹いっぱい食べないようにして、外食の時もご飯や炭水化物を少なめにしてください。
 毎日体重を測定しながら、体重の減っている傾向がなければ、食べずに飢えている時間が延長するように、一回に食べる量を減らせば、必ずダイエットに成功します。脂肪が燃える時の空腹感を持続できれば、サーチュイン遺伝子など、長寿遺伝子が常に働くようになり、健康長寿が全うできると思います。

ダイエットで制限すべき食材

 ダイエットには様々な方法が論じられて、糖質制限ダイエット、脂質制限ダイエットなど「食事を減らす」ことが多いですが、それぞれに必須栄養素ですから、単純に一つの種類を制限するダイエットはお勧めできません。

 健康的にダイエットするには、栄養バランスの良い形で、三食をきちんと食べることです。特に難消化性食物線維を多く含む野菜や根菜、海草、キノコなどを意識して多めに食べて、その分、脂質を減らして下さい。油脂に含まれる必須脂肪酸は必要ですが、意識して油脂をとらなくても、ゴマや大豆や魚、鶏肉から自然にとれる油脂だけで充分です。油脂は三大栄養素の一つですが、非常食ですから、油脂を多く摂ると、体内の非常食の蓄えが増えてしまいます。

 糖質は体内で真っ先に消費される栄養源ですが、長く体内に留めておくことが出来ないため、利用されず余った糖質は、インスリンシステムによって、脂肪に変換されて蓄えられます。したがって、糖質を一回の食事で食べ過ぎないようにするのが、糖質制限ダイエットですが、余らせない程度に食べると言うことが大切です。
 糖質を0にするような厳しい制限は、脂肪が大量に燃えすぎて強い食欲をきたしてしまい、リバウンドしてしまうのでお勧めできません。

ダイエットと睡眠

 不眠によって、血糖を低下させるインスリンの感受性が低下して、血糖が上昇しやすくなり、脂肪組織からのレプチン分泌が減ることによって、食欲が抑えられなくなり、カロリー消費を増やすことが出来なくなります。また食欲中枢を刺激するグレリンが増えるので、太りやすくなります。

ダイエットに必要な有酸素運動

 ダイエットを始めて、食べる量を減らしても、すぐに体が適応して、消費カロリーを抑えてインアウトバランスを整えようとしますから、食事量の減量だけでは、しっかりやせることは難しいのです。
 食べないと、まず体内の糖質が減って、次にタンパク質が糖質に変換されて減少し、脂肪は最後の非常食として、一番最後に燃え始めるので、脂肪が残って、筋肉がやせてしまいます。

 だから、安全にダイエットするためには、筋肉を減らさないで維持するために、運動が欠かせないのです。 運動と言っても、歩行や階段昇降や、日々の日常生活の中で体を多めに動かすだけでよいのです。筋トレなどの無酸素運動よりも、歩行やジョギングなどの有酸素運動を、毎日、20分以上続けると効果があります。