小児疾患の身近な漢方治療15 現代の子育て環境と漢方

出版年月:2017/4/17
刊行にあたって  山口英明
特別報告  エピジェネティクスからみた子育て環境と疾患  久保田健夫 
基調報告  子育て環境と漢方  山口英明
報告1   いのちを繋ぐ女性に使う漢方  塩田敦子
報告2   漢方治療からみた家族の調和  新井 勝
報告3   小児在宅医療と漢方  大谷俊樹
★報告4  発達障害児を育てる母親への漢方と西洋のハイブリッドアプローチの試み  川嶋浩一郎
特別提言  漢方医学の可能性  小川恵子
誌上座談会 現代の子育て環境と漢方 
あとがき  山口英明

刊行にあたって
 『小児疾患の身近な漢方治療』は2002年に創刊され,本誌が15号となります。その目的は小児科領域の漢方療法をさまざまな視点からとらえ,現代の小児医療に活かすことです。
 さて,この十数年でわれわれの生活環境は大きく変わりました。それに連れて子どもや家族の環境も激変し,伝統的子育て環境,いわば“子どもたちが生き延びて地域社会に適応するための装置”はいつの間にか衰退し,徐々に新しい環境に置き換わってきました。この変化に応じて,家族や子どもにかかわる新たな問題が生じています。それは心身のトラブルとして小児医療の大きな課題の1つにもなっています。また近年,子どもたちの発達環境と遺伝子の発現に関係するエピジェネティクスの興味深い研究が集積され,子育て環境の大切さが科学的にも認識され始めています。
 一方,わが国の伝統医学である漢方は,歴史的に小児医療においてもそれなりの役割を担ってきました。その特徴は多成分系の薬物(漢方薬)による生体の調節にあり,現代の小児医療の多様なニーズに対応して,子育て補助の1つの手段として機能しうると考えられます。
 このような意味から,今回は「現代の子育て環境と漢方」をテーマとしました。まず,わが国のエピジェネティクス研究の第一人者,山梨大学大学院総合研究部環境遺伝医学講座前教授 久保田健夫先生に「エピジェネティクスからみた子育て環境と疾患」を展開いただき,引き続いて「現代の子育て環境と漢方」と題して特集を組み,筆者が基調報告を受け持ち,妊娠・母性に関連して塩田敦子先生,家族の立場から新井 勝先生,小児在宅医療の立場から大谷俊樹先生,発達障害に関して川嶋浩一郎先生にそれぞれのお立場からご報告をいただきました。また母親・漢方医の立場から小川恵子先生にも追加のご意見をいただきました。もとより予定調和的な結論が得られる話題ではありませんが,現代社会の重要な課題である子育てについて,小児漢方がどのようにかかわっていけるかを考える機会になれば幸甚に存じます。
2017年2月吉日

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