小児疾患の身近な漢方治療13 子どものこころと漢方

出版年月:2015/4/23
特別報告 子どものこころの治療-現状と治療の課題-  齊藤万比古
基調報告 漢方における精神心理的病態のとらえ方とその治療(小児を中心に)  山口英明
報告1 小児心身症の薬物治療と漢方薬の位置付け  奥見裕邦
報告2 子どものこころの薬物治療と漢方薬の位置付け-精神科医の立場から-  岡 留美子
★報告3 発達障害児のこころを踏まえた症状の理解と薬物治療における漢方薬の位置付け  川嶋浩一郎
追加報告 日本小児心身医学会としての漢方薬のとらえ方  冨田和巳
討論 子どものこころと漢方
あとがき  冨田和巳

刊行にあたって
 小児疾患の身近な漢方治療13号が発刊となりました。今号では『子どものこころと漢方』を特集しました。ご存じのように近年、社会状況の変化や医療の進歩のなかで小児の疾病構造も大きく変わってきました。それに応じて小児医療に対する多様なニーズが生まれています。不登校の激増や、発達障害概念の一般化などに象徴されるこころの問題はその最たるものでしょう。小児医療の現場でこころのトラブルに対する治療に苦労されている先生方も多いと思われます。
 一方、漢方は千年単位の歴史を持つ伝統医学です。感染症が猖獗を極めた古い時代に、こころの問題が医学の主要課題であったとは思えませんが、経験的に残された生薬・漢方薬のなかにはこころに作用するものが数多くあり、先人達がそのような治療に使用してきた経緯があります。今号の目的は子どものこころのトラブルと漢方とのドッキングです。もちろん漢方の限界はありますが、こころの問題で苦しむ子ども達に対する治療選択肢の1つとして、漢方薬が機能しえるとの実感はあります。
 今回は児童精神の分野で数々の業績を残してこられた齊藤万比古先生に西洋医学の立場からの特別寄稿をお願いし、筆者が基調報告を記し、次いで奥見裕邦先生、岡 留美子先生、川嶋浩一郎先生、冨田和巳先生と、こころの問題に対する漢方療法で実績を積んでこられた諸先生からそれぞれ異なった視点でのご寄稿をいただきました。そして最後に座談会形式での内容を追加しました。
 従来、子どものこころと漢方に関して検討される機会は少なく、これは画期的な企画だと自負しております。ぜひご一読いただき、ご意見、ご批判をいただければ幸いと存じます。
 末尾になりましたが、本書の発行に多大なご尽力をいただいた関係各位にこころよりお礼申し上げます。
2015年2月吉日
日本小児漢方交流会代表幹事  山口英明

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