梅雨時の体調不良と夏バテの背後に胃腸虚弱(令和3年6月)

 6月に入り紫陽花の花が咲き始めています。今年の梅雨は、全国的には記録的に早い梅雨入りで雨量も多いと言われていますが、当院の茨城県を含む関東地方では梅雨の期間は例年より短く、気温の上昇が早い様です。

 漢方医学では、梅雨は『湿邪 しつじゃ』といって、漢方の病態一覧表である『五行色体表』では、五悪というカテゴリーの中の土気に属しており、湿気によって、五臓六腑のカテゴリーの土気に属す 『脾胃』が不調になるという認識があります。
 もともと脾胃(胃腸)虚弱の人は、日頃から、意志力、気力、体力が長続きせず、疲れ易く、頭痛やめまいを起こしやすく、下痢軟便になりやすく、冷え症の人が多く、特に昼食後に眠気が強く、午後は疲れて仕事にならないなど、慢性疲労とめまい、胃もたれ、水の代謝バランスが悪く浮腫みやすい、などの症状が出やすいと言われています。

 このような体質傾向のある人は、季節の変わり目の『土用』や、春と夏の変わり目の梅雨時に、低気圧や湿気の影響を他の人より強く受けて、頭痛やめまいや体調不良を起こしやすいのです。

 一般診療で使用されているめまいの薬や鎮痛薬で治療しても、梅雨時は治り難くなりやすいのですが、それは根底に胃腸虚弱とそれに伴う水分代謝不良があるからです。胃腸と水分代謝を元気にする漢方治療を併用すると、めまい薬や頭痛薬の効きが良くなったり、西洋薬が不要になったりします。

 小児に多い梅雨時から夏場にかけてのめまいや頭痛も、同じ原因と考えられることが多いので、梅雨に入る前から、胃腸虚弱を積極的に漢方治療しておくと、梅雨時だけで無く、季節の変わり目の体調不良や、夏バテにもよい効果が期待できますよ。

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