正月に思う漢方本来の目的と干支(令和3年1月)

 世界的にコロナ禍の猛威が止まらない中で新年を迎えましたが、皆様には、旧年中、大変お世話になり、誠にありがとうございました。

 御来院いただいた患者の皆様、ご家族の皆様、お薬の情報提供いただくMRの皆様、お薬や医療資材を毎日供給してくださる皆様や血液検査など他の業者の皆様、当クリニックを支えてくださっている全ての皆様のお蔭で、スタッフ全員、無事に新年を迎えることができました。心から感謝申し上げますとともに、皆様の益々のご健康とご多幸を衷心よりお祈り申し上げます。

 お正月は、物事を正す月と言われますから、年初の院長メッセージは、当院が得意としている漢方医学の原点を、改めて皆さんと確認しなおしたいと思いました。

 漢方医学の目的は、健康を支える免疫力や全身の機能、新陳代謝を高めて元氣にして、自然治癒力を引き出すことですから、全ての病気の人が漢方治療の対象になりえます。
 西洋医学は、病気の本質を追究して、悪いものなら取り除き、激しい炎症は鎮静させ、病気の要素を除くことによって治す医学です。特定の病気の人を対象としています。
 ですから、当院では、病気の本質に迫る西洋医学と健康のアンバランスの本質に迫る漢方医学の双方の利点を生かした医療を積極的に行おうとしているのです。今年もこの方針は変わりません。

 漢方医学は、健康状態を、陰陽太極論(陰陽五行説)というシステム論で診断・治療する医学なので、漢方のキーワードは『天人合一』と『同氣相求』です。
 つまり、大自然の運行(陰陽五行説)と健康状態が連動しているので、季節に応じた対応があるのですが、もっと大きく捉えると、歳の干支(えと)の循環も影響するのです。

 昨年は庚子(かのえね)だったので、人体においては呼吸器系の陽(炎症)と湿気(水気)の影響が強い年だろうと述べましたが、今年は『辛丑(かのとうし)』天干の辛は陰の金気で、季節では晩秋、紅葉のピークを過ぎて木々の葉が枯れて地に落ちる頃。地支の丑は陰の土気で、時間帯では深夜、季節では一陽来復の冬至を過ぎて大寒から立春の頃。この季節の終わりには、梅の花が咲き始めます。
 したがって、人体では呼吸器系(金気)の病気が慢性化したり、胃腸系の陰である『脾(膵臓)』が機能低下しやすいので、胃腸に負担がかかって水毒(むくみ、めまい、頭痛)や冷え症に影響したり、腎膀胱系や婦人科系に負担がかかり冷え症で悩む方が総じて影響を受けやすい年だと思われます。
 大自然の影響を最小限度にして健康をレベルアップしようとするのが漢方本来の目的であり得意分野なのですから、すこしでもご心配な方は、早めにご相談くださいね。
 本年も、どうぞよろしくお願いいたします。

 追伸 花粉症が心配です。このコロナ禍の中、花粉症対策としての漢方治療を今すぐに始めると良いと思います。コロナの症状を軽減できる可能性があるからです。今までホームページCOVID-19で述べてきた通りですが、花粉症の漢方薬と感冒(カゼ)の漢方薬は共通する部分が多いのです。 花粉症の症状が出ないうちに、1月中に漢方で体質改善を始めて、2月になったら西洋薬も併用するとよいです。
 アレルギー物質に免疫をつくって治す減感作・舌下免疫療法や、アレルギーの背景にある瘀血(慢性炎症)体質を改善し、アレルギーのスイッチを切り替えるシンバイオティックス食養生や漢方療法など、様々な対応が可能ですので、ご相談ください。

関連記事