小児疾患の身近な漢方治療12 補脾剤の考え方・使い方

出版年月:2014/5/2
『小児に対する補脾剤の考え方・使い方』
2013年に日本小児漢方交流会により開催された第13回日本小児漢方懇話会の記録集。

プログラム
開会の辞  山口英明
教育講演 疲労のメカニズムおよび臨床的意味  田島世貴
シンポジウム[基調講演] 補脾治療の概略と意義(小児を中心に)  山口英明
★シンポジウム1 小建中湯と関連処方の考え方・使い方  川嶋浩一郎
シンポジウム2 六君子湯と関連処方の考え方・使い方  小川恵子
シンポジウム3 補中益気湯の考え方・使い方  瀬口正史
総合討論 小児に対する補脾の実際
閉会の辞  山口英明

刊行にあたって
 第13回小児漢方懇話会は平成25年9月15日に東京で開催された。広瀬先生のご逝去でいったん中止された本会であるが、皆様方の熱意で昨年から再開され、記録集の発刊も継続されたことに対して、心からお礼申し上げる次第である。
 さて、今回は『小児に対する補脾剤の考え方・使い方』をテーマとした。いうまでもなく、子どもは生きると同時に成長している存在で、日々膨大なエネルギーを必要としている。このため、小児では成人に比べ、より脾胃に役割が重要視され、古くからさまざまな漢方薬が使用されてきた。近年、そのような処方の多様な作用が西洋医学的にも再評価される気運にあり、〈補脾〉はぜひ本会で取り上げたい重要な課題であった。
 当日は、まず教育講演で田島世貴先生に「疲労のメカニズムおよび臨床的意味」と題して子どもの疲労に対する科学的意味と漢方の役割についてご講演いただいた。今回のテーマにふさわしい刺激に満ちた内容であった。それを受けてシンポジウム「小児に対する補脾の実際」では小生の総論に続き、川嶋浩一郎先生、小川恵子先生、瀬口正史先生に、それぞれのお立場から小建中湯、六君子湯、補中益気湯を中心にお話しいただき、その後、会場の先生方も含めた熱心な討論が展開された。全体をとおして小児科領域での脾の役割に対する認識を深め、補脾治療の可能性を確認する貴重な機会になったと考えている。講師の先生方を始め、出席いただいた皆様に深く感謝したい。
 今後とも、このような臨床に直結したテーマを選び、さまざまな面から掘り下げて、明日の診療に役立つ実践的かつ先進的な情報を共有できる機会にしたいと考えている。
 次回は「子どものこころと漢方」をテーマに名古屋で開催される予定である。多数のご参加を期待したい。
 最後に小児漢方懇話会の開催と本書の刊行にご尽力いただいた関係各位に心からの感謝を申し上げたい。
2014年2月吉日
日本小児漢方交流会代表幹事  山口英明

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