インフルエンザの冬と漢方(令和7年11月12月)

 今年のインフルエンザは、10月下旬から始まり、11月に感染拡大し、例年より約1か月早く流行のピークを迎えようとしています。12月に冬の寒気が強まって、乾燥した空っ風が吹くと、浮遊ウイルスが増えて、さらに感染が広がる可能性が高くなります。
 現在はインフルエンザAのH3型の新変異株サブクレードKが蔓延し、全ての人に感染リスクがあるため、このままの流行状態が1月すぎまで続く可能性があります。

 小児は、インフルエンザによる異常行動が心配されますが、それは発症後2日目がピークで、4日目以降に異常行動は出ません。感染に対応して出る炎症性サイトカインが嵐のように短時間に大量に分泌され、急速に激しい全身炎症や高熱を起こすからです。

 漢方薬にはこのサイトカインの嵐を正常化して、全身の炎症を鎮めて高熱になるのを防ぎ、異常行動や熱性痙攣を防ぐ働きがあります。また、麻黄湯に、ウイルスが感染している細胞の中のオートファジーという消化リサイクルシステムを活性化して、ウイルスを消滅させてしまう働きも、科学的に証明されていますから、インフルエンザだけでなく、ウイルス感染全般に対して、西洋薬より漢方薬の方が高い治療効果があります。

 基本的に漢方薬は、顕微鏡もレントゲンもない時代に開発されたものですから、人を元気にして、病気にならないようにしようと考えて、不老長寿を目標に開発されてきたので、様々な感染症や、難病、寒冷ストレスによる体調不良などに対して、人を元気にする治療ができます。西洋医学的に診断できても治療法が確立できていない病気に対しても、気血水の過不足と循環を改善することで、自然治癒力を高めて病状を改善する治療が可能です。

 これから厳しい冬の寒さが続きますが、漢方医学で気象ストレスを軽減しながら、西洋医学とのハイブリッド治療を継続していくことによって、新しい年を元気に迎えられるように、これからもお手伝いさせていただきますので、どうか宜しくお願い申し上げます。