酷暑夏バテ対策 令和4年7月

今年(2022年)の関東地方の梅雨明けは6月27日でした。
当初予想は7月中旬でしたから、史上最短の梅雨明けとなりました。

夏の気候は人体に対して暑邪、熱邪となって影響します。
漢方薬による急性熱性疾患の治療法には、傷寒論(しょうかんろん)と温病論(うんびょうろん)があります。
秋から冬には寒邪に傷られて発症する『傷寒』が多く、悪寒やクシャミ鼻水などの症状が中心になりますが、春から夏にかけては温熱邪によって発症する『温病』が多い傾向があり、悪寒はなく、発熱、口渇、咽頭痛を主とした症状になります。

今年に入って春から新型コロナウイルスのオミクロン株が蔓延していますが、昨年のデルタ株よりも喉が赤く腫れて、激しい咽頭痛を訴える人が多く、オミクロン株感染には『温病』をふまえた漢方治療が必要なようです。

温病は人体内の有効に機能している水分(津液しんえき)が不足した状態下で発症するものなので、温病になりやすい人は熱中症にもなりやすいです。
ですから、ニュースでも熱中症を予防するために水分をこまめに補給するようにと言われますが、ただ単に水を多く飲めば良いというものではありません。
有効に機能している水分量を超えて水補給を行うと、体がむくむだけでなく、耳鳴りや頭痛やめまい手足の倦怠感を悪化させて『水毒(すいどく)』となって反って夏バテしてしまうことがあります。最近、頭痛や耳鳴り、めまいを訴えて初診される人が増えていますが、水毒が影響している可能性が高いと思います。
この水毒状態を予防できるのは、利水効果のある漢方薬だけで、西洋医学には対処法がありません。漢方の利水作用によって、体内の機能しなくなっている水分(水毒)を、機能する水分(津液)に再配分することができます。

水毒が悪化すると痰飲(たんいん)という状態になり、体内を巡る気血水の全てが停滞するので様々な体調不良が現れて夏バテも悪化します。
痰飲の原因は、湿邪と寒邪と食毒(高脂肪食)なので、 例えば、冷房の下で キンキンに冷えたビールを飲みながら油の載った唐揚げを食べるシーンを思い浮かべてください。すぐに痰飲になって酷い夏バテになる可能性が高いのです。昔の人が、スイカとウナギ(天ぷら)の食べ合わせは良くないと言っているのも同じ理由です。

熱中症予防や夏バテ対策に漢方を大いに活用してください。何なりとご相談くださいね。