日本の神話が日本人の優しさと大らかさ、安心感のルーツ

 令和三年十月の神無月には、内閣総理大臣がかわり、衆議院選挙があります。国政(くにのまつりごと)が変わろうとしています。自民党の総裁選を見ていて気づかされたことがありました。
 4人の立候補表明を聴いていて「総理になっても靖国神社に参拝します。素晴らしい歴史と文化と国土を守ってこられた英霊達の思いに感謝して、この素晴らしい日本を未来の子ども達に残していく責任があります。」と力強く述べている候補に心から感動しました。

 数千年にわたり連綿として受け継がれてきた歴史と文化を持っている国は、世界中どこを探しても日本以外にありません。日本の歴史と文化を守り続けることができたのは、天皇家に代表される日本古来から続く『家制度』のお蔭です。

 家族が寄り集う家で、祖父母や子や孫との協同生活の中で、祖父母を思いやり、子や孫を慈しみ、祖父母を通して先祖を大切に思いやる気持ちが生まれ育ちました。こうした家族意識が何代も継承されてきたからこそ、相手を思いやる惻隠の情を大切にして、身勝手な卑怯を憎むという武士道の精神が育ち、世界に誇れる日本の国柄ができたのだと思います。

 第16代仁徳天皇の『民のかまどの煙り』の逸話にあるように、古来から天皇は、国民の苦しみや喜びを我が事や我が家族のように思い、悲しみや喜びを分かちあい、他人を羨んだり妬んだりしないという帝王学教育を受けていたそうです。聖徳太子の十七条の憲法にもその精神が受け継がれ、まさに惻隠の情の手本が、数千年にわたって皇室で培われていたのです。
 この天皇の思いが、古来からの神話や逸話を通して、日本国民に広く浸透し、お互いを家族のように思ってまとまっていたからこそ、元寇や、戦国時代から明治まで続いた西欧列強の植民地支配にも屈せず、日本の歴史と文化、国柄を守ることができたのだと思います。

 ただ家族としてまとまっていただけなら、アマゾンの原住民のように、かたくなに閉ざした社会を守るだけになっていたと思いますが、日本がそうならずに世界中の文化、文明を吸収しながら発展できたのは、八百万(やおよろず)の神々の神話や民話の大らかでしなやかな世界観があったからだと思います。
 歴史や伝統が残っている国々には、どの国にも神話があり、エジプト神話、ギリシャ神話、ローマ神話、北欧神話、中国の盤古神話など、それぞれの国の人々の歴史的アイデンティティーや世界観を培ってきました。日本神話も、日本人の大らかで明るく優しい心を育んできたのです。
  特に日本の神話の素晴らしいところは、神々が人間味溢れるご性格で、失敗したことも包み隠さず、様々なリベンジが描かれていて、日本人の基本的な物の考え方に影響していると思われることです。

 ところが、この日本人の古き良き伝統や家族意識や一体感を、第二次世界大戦終戦時の西欧列強の国々は、大いに誤解して、二度と再び日本が戦争を起こさないようにと、占領軍の連合国最高司令部GHQが、 日本国民のルーツである神道的世界観や武士道の良き伝統まで全てを否定し、日本の歴史教育や国政から神道思想を抹殺したのです。 こうして現代の日本人は、世界のどの民族よりも国を愛する心が乏しいといわれるようになり、平和ぼけしてしまいました。
 家制度が否定され、民主主義の名の下に個人の自由主義が広がり、自分さえ良ければそれで良いと身勝手な言動をする人が増え、虐待や家庭内暴力が増え、老人の孤独死が増えています。
 また、現代、民主主義の象徴のように言われている夫婦別姓を認めれば、完全に家制度が崩壊して、先祖を敬い子孫を慈しむ日本の良き伝統が崩壊します。そうすれば、日本を日本たらしめ、126代継承されてきた家制度の象徴である天皇制も崩壊します。ご先祖が代々守り抜いてきた日本の国柄や伝統文化も子孫に継承できなくなるでしょう。
 自民党総裁選で、夫婦別姓を明確に反対している候補がいました。「戸籍は変えずに、広く通称を認める法律を作れば問題無い」と述べていました。全くその通りだと思います。
 また、女系天皇を認めることも家制度の崩壊に繋がります。男系の皇統を守るために一時的に女性が天皇になったことはありましたが、女系天皇制となったことは一度も無かったのです。総裁候補の1人は、「この日本の伝統を守り抜くには、GHQの変更を戻して、皇統男子を皇室の宮家に戻せば良い」とも述べていました。このような歴史を含めて日本を守り抜くと宣言した総裁候補が出てきたことを、私は神々に心から感謝する思いでした。

 第二次世界大戦で日本は敗戦国になり、周辺国から「日本人は戦時中に海外で極悪非道を尽くした」と言われますが、戦前の国際連盟で人種差別撤廃を唱えたのは日本だけでした。戦前の日本は台湾を人道統治して、多くの学校を建て、識字率を高めて、戦後の台湾の復興に大いに貢献してくれたと、今でも台湾の人々から感謝されています。
 西欧の列強に植民地化され搾取されていたアジア(亜細亜)の国々に対して、西欧諸国の支配から独立した大東亜共栄圏を造ろうと立ち上がったのが、日本の大東亜戦争だったのです。
 一般の国民は日本国を守りアジアを西欧列強から開放しようという純粋な心で、戦争に出陣していったのです。このような崇高な使命感は、日本人が誇るべきものでありますが、その手段として戦争を選んだことが問題だっただけなのです。しかし、その先の戦争も、そうせざるおえないように日本を追い込んだ西欧列強にも問題があるという解釈が、現代の歴史学者の世界的な常識なのです。
 この西欧列強からのアジアの開放という使命感があったからこそ、西欧列強が恐れるほどの武士道精神で、勇猛果敢に戦えたのです。その日本の崇高な使命観を隠すために、戦後は、大東亜戦争と呼んではならないと命令し「太平洋戦争」と呼称を変えさせたのがGHQなのです。

 日本の神話を読むと、神を祭ることが政(まつりごと)の基本であることが古事記や日本書紀に書かれ、神と共に祭りのように日々を幸せに暮らすこと、八百万(やおよろず)の神様も高天原に集って働くこと『傍(はた)を楽(らく)にすること』を、楽しんでいたことがわかります。
 今の若者は、国生み、黄泉の国、天の岩戸、ヤマタノオロチ、因幡の白ウサギ、国譲り、天孫降臨、海幸山幸などの日本神話を一切知らないようです。ほんとうに驚くばかりです。日本の神話によって、神々に感謝して生きる、謙虚で、優しく、勇気と忍耐を兼ね備えた日本の国民性が培われたことをもう一度思い起こしてください。
 このような背景があったから、漢方のバックボーンにもある中国の太極観や老荘思想も、日本に入ってから花開いて定着し、政治や文化に生かされてきたのです。
 常に日本国の弥栄を祈願している伊勢神宮では、神無月に神嘗祭があり、五穀豊穣を神々に感謝しています。また日本の神々は出雲に一堂に会して、私達の日頃の感謝と努力を評価してくださり、来年の守護の指針を神々が考えてくださり、新たなめぐみを与えてくださると神話に書かれています。現代人が、幼少の頃から日本神話に親しく触れていたなら、現代のような社会に蔓延する不安感は、もっと軽減されていたはずです。

 日本に比べて、中国大陸では、民主社会主義を唱えて、文化大革命によって過去を全否定して、修身斎家治国平天下の思想や太極観や至誠など、全く消え失せてしまいました。
 日本は中国の二の舞にならないように、国政を担う方々には、日本のアイデンティティーである日本神話を、国を挙げて広め、教育していただき、惻隠の情を大切にして卑怯を憎む日本の国柄を守って、子孫に残していただきたいと、切に願う次第です。