夏至の頃(令和5年6月)

 6月22日、今日は夏至です。天の陽気が最も極まって、太陽が最も高く長く天空に輝く日です。また梅雨の時期で、紫陽花が色とりどりに咲き誇り輝く季節ですね。今日は曇りでしたが、雲の上に輝く太陽に感謝する1日でした。
 人は自然のリズムの中で生きているので、心身の活動は、太陽の影響を最も強く受けます。陽気が極まると、健康な人は気血水の循環が良くなりますが、隠れていた病気や体調不良が、明るみに出てくるのも夏至の頃です。
 梅雨の頃でもあるので、湿気の影響を受けて、頭痛やめまい、手足の重怠(だる)さ、食欲不振などをきたし、胃腸虚弱の人は体調不良が益々ひどくなると気持ちが沈みやすくなり、気力が湧かなくなります。

人の心には、マインド(メンタルの心)とスピリット(スピリチュアルの心)があります。
 マインドは映像や言語で表現できるイメージの理性の世界です。だからマインド(理性)を扱う学問を心理学といいます。
心のイメージを明るく持とうとか、マインドフルネスで瞑想して、過去の心配(持ち越し苦労)と未来の不安(取り越し苦労)の雑念を払い、今に集中するイメージを持とうとしますが、全て、自分の意識をどのように持つかという工夫であり、スピリットではありません。
 スピリットとは、人の霊性、感性、気力、忍耐力、勇猛心、喜怒哀楽の発する前の中庸であり、スピリット(霊性)を扱う学問を心霊学といいます。中国の四書五経には、そのスピリットとはどのようなもので、スピリットはどうしたらレベルアップできるかが書かれていて、大自然はスピリットに満ちあふれている、これこそ道の教え、「タオ」だと言っています。
 一言で言えば、大自然や社会や家族や両親や、自分を取り巻く森羅万象の全てに内在するスピリット(氣)によって自分が生かされていることを、心から実感して、感謝して、感激して、感動して、心や行動が変化して、口と心と行いが「誠」となれば、「至誠天に通ずる」と社会や大自然の運行に合った生き方ができるようになり、「至誠にして動かざる事、未だこれ、あらざるなり」と心身共に健康を得られます。

 漢方医学は、このスピリットをいかに元氣にするかということを探求してきた医学です。漢方薬でスピリットが元気になれば、マインドは自然に素晴らしくなるものです。いまから、スピリット(氣)の補充をして、猛暑に備えてくださいね。