本来の睡眠機能を高める不眠症治療

当院の不眠症治療は、本来の睡眠機能を高めて、睡眠の質を改善して、免疫力を高め、心身を元気にする治療をおこなっています。
 人は、日中にセロトニン優位の昼モードで元気に活動し、夜間にメラトニン優位の夜モードにして、ぐっすり寝て休んで疲労物質を代謝し、免疫力を高めて老化細胞を取り除き、新しい元気な細胞を増やして、翌日の活動のためにエネルギーを充填しています。
 日中にオキシトシンやセロトニンを増やし、夜にメラトニンを増やす漢方生薬セットが発見されています。疲労物質や老化細胞を取り除ける可能性の高い、免疫力を高める効果が認められている漢方薬があります。漢方治療で「気血水」を充実させ、循環を良くして安定化することによって、健康的で自然な睡眠を得られるように、治療を行っています。
 不眠症は不安神経症の一症状と言われます。まず自律神経の緊張を緩和する漢方薬や、不安を軽減する安神作用とオキシトシン神経(愛情と絆と安心感をもたらす神経)を活性化できる漢方薬などで様子をみています。
 それでも不眠が残る場合は、覚醒を維持するオレキシン神経の働きだけを抑えて、睡眠システムに一切触らず、依存性のない、オレキシン拮抗薬(ベルソムラ、デエビゴ、クービビック)の3剤を使い分けて、入眠障害や中途覚醒を改善して、さらに、夜モードを維持するメラトニンの働きを助けるラメルテオン®を併用する事によって、睡眠の質を数段高めることができます。これらを駆使して、睡眠が持つ本来の役割である、疲労した心身をリセットして、翌日の元気な活動に備えるという治療を行っています。

従来のベンゾジアゼピン系不眠症薬は、抗不安作用があるため不安や緊張の強い人には有効ですが、睡眠機能に必要な「レム睡眠期」を減らし、筋弛緩作用、記憶障害、日中への持ち越し作用があり、長期に服薬してから急に断薬すると、反跳性不眠、筋関節痛、易怒性亢進などの離脱徴候が出やすいという依存性があるので、当院では用いていません。

市販のドリエルなど抗ヒスタミン作用のある睡眠薬も、脳のヒスタミン神経活動が抑制されるので、学習・記憶力の低下、易怒性亢進、食欲亢進などの副作用があり、薬剤耐性と依存性があるので、当院ではお勧めしていません。

寝酒など、アルコール類は、寝付きを良くしますが、睡眠機能に必要な「深睡眠期」を抑制するので、熟眠感(ぐっすり寝た感覚)がなく、翌朝に疲れが残るようになります。耐性や依存性があるため、アルコール依存症が心配です。