#4072
けんご(院長)
キーマスター

「越中富山の薬売り」が「配置薬」という売り方で、家庭常備薬というものを広めました。
休日や夜間など、急に熱が出たり、下痢をしたりしたときなどに、何か常備しておきたいと思われるのは当然のことと思います。
通常は、町で売っている市販薬の総合感冒薬などを使われていることと思います。
感冒用の漢方薬も、市販薬として、エキス粉末、錠剤、シロップ剤など様々なものが売られています。

日本で使われている感冒用の漢方薬は、傷寒論を出典とするものが多いのですが、それぞれの漢方薬の適応が決められていて、適応がないのに、強い発汗作用のある漢方薬を使用すると、「誤治」といって、病状が悪化する場合もあると述べられていますから、この場で、特定の漢方薬をお勧めすることは難しいと思います。

「麻黄湯」は大青竜湯に次いで、発汗力の強い、実証に使う漢方薬ですから、全身の関節痛を伴い、悪寒があり、熱があるのに汗がでない場合には良いですが、日頃から汗かきで、体力の無い人の感冒には向きません。
また、エフェドリンの量が多いので、交感神経を緊張させ、動悸がしたり、前立腺肥大の年配の方には尿閉の危険があり、緑内障の人の眼圧を上げて悪化させたりするので、注意が必要です。
 麻黄湯の適応が無い場合は、無汗で上半身に症状が集中している感冒なら葛根湯、麻黄湯で発汗させすぎる心配がある時は桂麻各半湯、少し動くと汗が出るような虚証の感冒には桂枝湯、参蘇飲、香蘇散、頭痛が強い時は川きゅう茶調散など、様々な漢方薬を使います。

体に合った漢方薬を服用すると、一晩で、解熱して、感冒症状が消えてしまうこともありますので、ご自身の常備薬をお探しでしたら、診察の時にお尋ねくだされば、アドバイスさせていただきます。