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けんご(院長)
キーマスター

この年代で急に便秘になったときに、真っ先に考える事は大腸癌ですね。
しかし、すでに病院で検査を受けて問題なかったわけですから、原因として残るのは「機能性便秘」ですので、治療法としては、食事療法や生活習慣改善、内服薬などで対応するのが、一般的です。
温野菜や根菜類や豆類、海藻類などで食物線維を多くすることが大切ですが、どのくらい多く摂れば良いかというと、大便が、硬くなく、黒くなく、柔らかめの「バナナ状うんち」になるまで増やす必要があります。
黒くて、硬くて、ポロポロのウンチは、食物線維が少なく蛋白質が多すぎてバランスが悪いために、悪玉の腸内細菌が蛋白を分解してアンモニアなどを生成し、便をアルカリ性にしているからです。また、悪玉菌は腸を慢性炎症状態にして、ポリープを増やし、大腸癌などを誘発します。
善玉の腸内細菌は、食物線維をエサにして増えて、乳酸や酪酸、酢酸という有機酸を大腸で作りだし、便が酸性になると、赤ちゃんのうんちのように、固まらなくなるのです。腸の慢性炎症が予防され、健康が維持されます。

約2か月間、自力で排便ができていないと言うことは、年齢的に、フレイル状態になって、腹圧をかける筋力が低下していることが考えられますが、便性が柔らかくなれば、赤ちゃんのように、弱い腹圧でも排便は可能です。
漢方薬には、便性を改善させるものもありますが、腸を温めて動きを元気にして排便を促すものもあります。

体力低下から、通常の下剤が十分に機能しないのであれば、漢方薬で体力を補ってあげることが必要です。一般の医師も漢方薬を処方するようになってきているので、強い瀉下作用のある漢方薬を出される先生もいらっしゃいますが、まずは、食事で便性を整えて、次に、腸を温めて元気にする工夫をしてみて、最後に、漢方の下剤を検討するのが良いかと思います。主治医にもご相談してみて下さいね。