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けんご(院長)
キーマスター

NLRは好中球/リンパ球比のことですが、この比が高い、つまり、好中球が多くてリンパ球が少ない状態ということですが、西洋医学的には慢性炎症体質とほぼ同じ状態で、漢方医学的には瘀血(おけつ)体質、気血水が滞りやすい痰飲体質で、NLRが高値となります。
 血管が詰まりやすくなる食生活は良くないので、獣肉、獣肉の脂肪、乳脂肪、コレステロールが多い貝類や甲殻類や魚卵などは、食べ過ぎないようにした方が良いと思います。
 また直接的に慢性炎症を引き起こしやすくして、癌もその刺激で大きくしてしまうものに、AGEs終末糖化産物というものがあります。みりん干しのように、糖分と蛋白質が結びついて、赤褐色に変性した物質で、糖尿病で増加しやすく、コンガリ焦げたものを食べれば食べるほど、体内にAGEsが蓄積して、癌だけで無く、動脈硬化や骨粗鬆症、認知症など、老化現象に大きく関わっています。この蛋白質にこびりついたAGEsは、毎日、体を夜モードに切り替えるメラトニンという体内物質で、AGEsを減らすことができます。ですから、夜の熟眠がとても大切です。さらに、メラトニンは、昼モードを維持するセロトニンから作られるので、セロトニン神経の働きを高める工夫も良いですね。
 セロトニン神経は、有田秀穂先生が様々な研究をされて、一般向けの著書も多く出版されています。精神安定状態を高めて、不安緊張の交感神経活動を抑える働きがあります。交感神経が過緊張状態で不安や緊張、疼痛が続いていることも、慢性炎症を起こしやすい誘因になります。
 NLR高値は、慢性炎症と言い、睡眠や食事や自律神経のお話をしましたが、慢性炎症は老化を促進する要因でもあり、そもそも癌が出てくること自体が、免疫系の老化現象なのです。癌細胞の種は、誰でも持っていますが、免疫系が元気な内は、癌に成長せずに、種の内に消されているのです。
 漢方医学は、本来は、健康レベルを高めて、不老長寿をめざす医学ですから、漢方医学的な健康レベルを高める治療や養生法を併用することについて、主治医の先生と相談されたら良いと思います。有明がんセンターの漢方外来を担当されていた先生が、漢方治療について書かれた本も出版されています。
 自立神経の不調も良くないので、まず「癌は誰でも年をとれば出てくるものなので、特別なものではない」と考えて、癌というストレスに執着しないメンタリティーを持てるようになると良いですね。
 私は、温かくてアットホームなドラマが好きで、感動の涙はセロトニン神経を強く活性化させると、有田秀穂先生も述べています。なるべく、温かく、明るく、軽やかで、感動的な世界をイメージすると良いようです。
 がん治療、大変だと思いますが、これからも何かお役に立てることがあれば、遠慮無く、ご相談ください。
(御返事が遅くなって申し訳ありませんでした)